家族が暮らす住まいにおいて、日本だけの現象が二つあります。一つは、同じ敷地に親世帯と子世帯が住む「二世帯住宅」、もう一つは、夫婦がそれぞれ別に寝る「夫婦別寝室」です。この二つについては、世界の社会学者や人類学者が強い興味を示し注目していることでもありますが、さまざまな家族問題が表面化している中で、この現象を検証することは今後の日本の家族のありようや、住まいがどのように変わっていくのかを予測する貴重な資料になるのではないかと思われます。
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二世帯住宅の増加の背景として、一つは土地価格の高騰により、子ども世帯が自力で土地を購入し家を持つことができないという社会状況があります。一方、親にとっては、土地を提供することで老後の面倒を子ども世帯が受け持ってくれるという現実的な選択があることが想像できます。夫婦別寝室については、結婚当初は同室であったのが生活を続けていく中で別寝室になった夫婦や、いまは部屋がなくできないがいずれは別にしたいという別寝室願望派が、子育てが終わった四十代後半から急激に増えています。これも日本にのみ見られる現象であるだけに、「いま日本の夫婦に何か起こっているのか」と注目されることは、当然だと言えるかもしれません。ただし、同じ世界に例を見ない現象でも、二世帯住宅は間取りや設備の完全分離型から一部共有型までさまざまなかたちがあり、もし失敗したとしても、二世帯住宅の解消後に再び良好な人間関係を築くことは不可能ではありません。